[要旨]
◇外科医 COVID-19ウィルスに対して、安価に利用でき、無毒で、実用的消毒剤を持つ必要がある。この解説の目的は次亜塩素酸を日常的に使用するための証拠について見直すものである。この溶液の効果を含む文献のレビューから、この物質がCOVID-19ウィルスを不活化する可能性が高いことが予測され、使用できることが示唆された。
◇歯科 高速ハンドピース使用する歯科及び医療分野で働く個人はエアロゾル化の危険にさらされる。次亜塩素酸を口漱ぎに使用する場合の誤飲について、マウスウオッシュ使用の観点から、動物研究で評価した。17匹のマウスに飲料水として次亜塩素酸水を与えたが、口腔の目視検査、組織病理学的検査、表面エナメル質粗さの測定で異常な諸見は認められず、全身への影響もなかった。
◇創傷ケア 腹腔無い創傷ケアに関する臨床研究では、患者は100ppmの次亜塩素酸水で腹腔の洗浄を受け200ppmで創傷の洗浄を受けたが、有害な影響は認められなかった。
◇手の消毒 手指消毒剤に使用される次亜塩素酸は100~200ppmの濃度で効果的である。
◇物質表面への応用 ある研究では、次亜塩素酸を使用して外来外科センターを洗浄後消毒する場合や次亜塩素酸によってクリーニングおよび手指消毒を実施した部屋は、標準的な洗浄および消毒をした部屋よりも細菌数が有意に少ないことを明らかにしている。
◇スプレー又は噴霧器によって適用される次亜塩素酸 次亜塩素酸の霧は表面の微生物の消毒に非常に有効である。
◇鳥インフルエンザウィルス 低病原性鳥インフルエンザウィルス(AIV)H7N1に対し、次亜塩素酸水(pH6、100及び200ppm)で30cmの距離で噴霧したところ、5秒以内にAIVを検出不能レベルに減少させた。小さな粒子を作る噴霧器では溶液の分子がより長い時間、空気中に懸濁する可能性があり、これは病原体と接触しそれを不活化するチャンスを高める可能性がある。
[まとめ]
次亜塩素酸は十分な個人用保護具、スクリーニング及びソーシャルディスタンス、手洗いなどと組み合わせると外来OMS設定におけるCOVID-19の感染を減らすのに役立つ可能性のある消毒剤の1つである。次亜塩素酸は理想的な消毒剤の望ましい効果の多くを含む。次亜塩素酸は安価で、良好な安全プロファイルを有し、広い範囲を素早く消毒することができる。
[報告例2]
米国 Clinical Trials.gov 2020年12月24日
原文検索KW:NCT04684550
Use of Hypochlorous Acid as Prophylaxis in Health Personnel at High Risk of Infection by SARS-CoV 2 (COVID19)
SARS-CoV 2による感染リスクが高い医療従事者における予防としての次亜塩素酸の使用。
[要旨]
◇COVID-19の新しい治療・予防の選択肢について、鼻粘膜への次亜塩素酸の適用が提案され、その安全性は前臨床試験で証明されている。
◇次亜塩素酸の有効性はエンベロープ及び非エンベロープウィルスに対し試験されており、ヒト細胞に影響を与えることなく、ウィルスを減少させる。この特徴は患者や専門医の感染リスクを減らすことに貢献できる。
◇上気道と鼻腔に侵入したウィルスが定着する初期段階でウィルスの増殖を抑えることが求められている。
◇新型コロナウイルスによる感染リスクの高い医療従事者の予防法として、次亜塩素酸の鼻スプレー用液の使用を提案する。
■海外での次亜塩素酸水の使用例(噴霧による空気清浄など)
1) ニュージーランド、中国、台湾では、噴霧による空気清浄を含む次亜塩素酸水の有効活用により、感染拡大阻止に成功していることが広く知られています。
2) 中国においては、次亜塩素酸水が室内の空気の消毒に使用できることが、正式に認められています。(「国民保健局監督レター」(2020)第147号)